栃木県/バレーボールスクール/AVANZAR
代表コーチの中田です。
・アバンザールを立ち上げて4年目
・著書「バレーボール令和の教科書1年生」
・バレーボール指導歴10年以上
・1週間に1冊の読書量
・教育・バレーボール指導について20000時間以上を費やして研究・実践
バレーボール指導における「基本」という概念は、しばしば疑問視されます。
- 指導者が出したボールがゲームでまったくその通りに飛んでくるのか?
- ボールが実際にレシーブできなくても、形がきれいだったら許されるのか?
- 必ずネットにお腹を向けてブロックをすることにどんなメリットがあるのか?
指導者や選手は、何をもって「基本」とするのか、その「基本」をどのようにして練習に取り入れるべきなのか、という根本的な問いに直面します。
この記事では、バレーボール指導における「基本」の概念について深く掘り下げ、その見直しの必要性を論じます。
バレーボール指導における「基本」の現状
実際に「バレーボール 初心者 基本」と検索するとこんな感じのページが見つかります
バレーボールの練習や指導においては、
- ディグやレセプションでボールを正面で捉える
- ブロックをネットに正対して行う
- オーバーハンドパスやセットで手首の反動を使う
など、特定のフォームや動作が「基本」として長年教えられてきました。
しかし、どうでしょう。ゲームの中ではさまざまな壁に直面します。
- 正面に入れないほど速いサーブやスパイクにはどう対応したら良いのでしょう?
- ブロックをネットに正対して行うのと、助走を利用して腕を振って跳ぶのと、どちらの方が高いブロックができるでしょう?
- オーバーハンドパスやセットで手首の反動を使うために、準備しておくことは何でしょう?
これらの指導法は、技術の習得という観点からは一定の効果を発揮しますが、実際のゲームにおける多様な状況に柔軟に対応する能力の育成は、しばしばおろそかにされがちです。
「基本」の見直しの必要性
バレーボールというスポーツは、予測不可能な状況が常に発生し、選手はその瞬間瞬間で最適な判断を下さなければなりません。
従来の「基本」に固執するあまり、選手がそのような状況に対応するための思考や判断の自由度が制限されることは、ゲームの本質から遠ざかる結果を招きます。
オープンスキルとしての「基本」
バレーボールの指導においては、「クローズドスキル」や「テクニック」に焦点を当てるのではなく、「オープンスキル」やゲームスキルとしての「基本」に重きを置くべきです。
オープンスキルとは、環境の変化に適応し、さまざまな状況に対応する能力を指します。
バレーボールというゲームの本質に立ち返り、選手がゲーム中に多様な状況に柔軟に対応できるような指導法が求められます。
「基本」の新たな定義
バレーボール指導における「基本」の新たな定義を提案します。
それは、形や型にとらわれず、ゲーム中に最も効率的に目的を達成するための思考や行動パターンを育むことです。
例えば、ディグやレセプションでは、ボールの位置や速度、自分の位置など、ゲームの状況に応じて最適な動きを選択する能力を「基本」とします。
ブロックやオーバーハンドパス、セットにおいても、単にフォームを正確に再現するのではなく、相手の動きや自分のチームの状況を読み取り、最適な選択を行う能力が「基本」となります。
指導法の転換
バレーボール指導における「基本」の見直しは、指導法の転換を必要とします。
選手に対して、単一のフォームや技術を繰り返し練習させるのではなく、ゲーム中に発生する様々な状況を想定した練習を取り入れることが重要です。
このような練習を通じて、選手は自ら考え、判断し、行動する力を養うことができます。
結論
バレーボール指導における「基本」の見直しは、選手がゲームの本質を理解し、多様な状況に柔軟に対応できる能力を育むために不可欠です。
このためには、オープンスキルとしての「基本」に焦点を当て、選手の思考や判断の自由度を高める指導法が求められます。
バレーボール指導の現場において、このような転換が進むことで、より高いレベルでのパフォーマンスと選手の成長が期待できます。