こんばんは、中田です。
平成30年にスポーツ庁から出された「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」ご存じですか?
あまり身近なワードではないですよね。普通に過ごしていたらあまり耳にすることはないと思います。
この文書は、「時代の流れに合わせた適切な部活動指導を実施していきましょう」という趣旨のものです。
今日は、ガイドラインによって何が変わるのか?ということを、以下の3つのキーワードでまとめていきたいと思います。
①適切な休養日
②地域との連携
③生徒のニーズ
①適切な休養日
以下、スポーツ庁HPより引用
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運動部活動における休養日及び活動時間については、成長期にある生徒が、運動、食事、休養及び睡眠のバランスのとれた生活を送ることができるよう、スポーツ医・科学の観点からのジュニア期におけるスポーツ活動時間に関する研究5も踏まえ、以下を基準とする。
○ 学期中は、週当たり2日以上の休養日を設ける。(平日は少なくとも1日、土曜日及び日曜日(以下「週末」という。)は少なくとも1日以上を休養日とする。週末に大会参加等で活動した場合は、休養日を他の日に振り替える。)
○ 長期休業中の休養日の設定は、学期中に準じた扱いを行う。また、生徒が十分な休養を取ることができるとともに、運動部活動以外にも多様な活動を行うことができるよう、ある程度長期の休養期間(オフシーズン)を設ける。
○ 1日の活動時間は、長くとも平日では2時間程度、学校の休業日(学期中の週末を含む)は3時間程度とし、できるだけ短時間に、合理的でかつ効率的・効果的な活動を行う。
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つまり、週に2回は休みをとり、1回あたりの時間も短く効率的に済ませなさい、というわけです。
熱心に指導している現場からしたら、なかなかの制約と言えそうです。
・部活動指導に生きがいを感じている顧問の意欲低下
・「週に2回も休んだら下手になる」という哲学(笑)をもっている指導者や保護者の不安感増加(実際には休養日を適切に設けたほうがトレーニング効果の面でもよいです)
などが考えられます。
②地域との連携
読んで字のごとく、です。ガイドラインによると、今後の部活動においては、生涯スポーツを目指し、社会に開かれた活動が求められるようです。
私の偏見かもしれないですが、中学校の部活動、特にバレーボール界なんかでは、閉鎖的な空間でやってきた指導者も多いことと思います。そういった方々からすると、これからの部活動形態は息苦しいものになるのではないでしょうか?
・部活動への地域スポーツ団体の介入
・総合型地域スポーツクラブの需要の高まり
・クラブチームに所属する生徒の増加
などが考えられます。
③生徒のニーズ
これも少なからず部活動に変化をもたらすでしょう。部活動に所属する生徒のニーズも、多様化してきています。
・トップアスリートを目指し、競技力をとことん高めたい。
・仲の良い友達と一緒に汗を流し、よりよい学校生活を送りたい。
・健康のために定期的に身体を動かしたい。
・女の子にキャーキャー言われたい(笑)
など、挙げればきりがないほどのニーズが部活動にはあります。
ガイドラインにおいては、シーズンごとに競技レベルをその多様なニーズそれぞれに応えられるような活動形態が求められているのです(と言っても、ある程度以上の学校でそのひとつひとつに応じていたら部活動経営が回りませんが)。
・部活動への地域スポーツ団体の介入
・総合型地域スポーツクラブの需要の高まり
・「あー、やってられっか!」と途方に暮れる顧問
などが考えられます。
いかがでしたか。ちなみにこのガイドラインは「働き方改革」の要素も多分に含んでいます。
こうしてみると、今後のスポーツ指導の場は部活動からクラブチームへとシフトチェンジしていくような気もしますね。部活動を頑張りたい教員には少々耳が痛い話ですが…
ただし、経済面や時間的制約など、クラブチームにもなかなか難しいところはありますよね。
ご相談、随時承っております。ではまた、再見。