栃木県/バレーボールスクール/AVANZAR
代表コーチの中田です。
・アバンザールを立ち上げて4年目
・著書「バレーボール令和の教科書1年生」
・バレーボール指導歴10年以上
・1週間に1冊の読書量
・教育・バレーボール指導について20000時間以上を費やして研究・実践
スポーツの世界では長い間、反復練習が基礎技術の習得に不可欠であるとされてきました。
しかし、日本・海外で10年以上の指導をした私の経験から言えることは、実はゲーム形式の練習の方が、選手たちに基本や基礎を身につけさせる上で非常に有効であるということです。
なぜなら、ゲーム形式の練習は、実際の試合に近い状況を作り出すことができ、選手たちが自主的に考え、行動することを促します。
この方法により、単に技術を覚えるだけでなく、その技術をいつ、どのように使うかを理解し、適用する能力が養われます。
私が指導したあるチームでは、ルールや設定を変えたゲームを中心に練習を行いました。
その結果、選手たちは自ら進んで新しい技術に挑戦し、それを試合で活かすことができるようになりました。
特に印象的だったのは、5対5のゲームで選手たちが三段攻撃でスパイクを果敢にトライし、成功を重ねたことです。
成功するたびに、選手たちも私も大きな喜びを感じました。
この経験からもわかるように、ゲーム形式の練習は選手の成長にとって非常に価値があります。
それでは、ゲームが基礎技術の習得に役立つ理由について、さらに詳しく見ていきましょう。
関連記事:【全員が成長できる育成環境】伝統的な反復練習にサヨナラ。
関連記事:反復練習は本当に効果的か【既成概念にとらわれないドイツのトレーニング】
ゲームが基礎技術の習得に役立つ理由
ゲーム形式の練習が、伝統的な反復練習と比較して、基礎技術の習得になぜ有効なのか。その理由を深く掘り下げてみましょう。
実戦に近い形での学習
ゲーム形式の練習は、実際の試合環境を模倣することができます。選手は、単に技術を繰り返し行うだけでなく、実際の試合で遭遇するような多様な状況下でその技術を適用する方法を学びます。このような練習を通じて、選手は技術の使いどころを理解し、試合中に即座に適切な判断を下す能力を養うことができます。
自主性と創造性の促進
ゲーム形式の練習は、選手に自ら考え、行動する機会を提供します。ルールや設定を変えることで、選手は新しい戦術を考え出したり、困難な状況を乗り越えるための創造的な解決策を見つけ出したりする必要があります。この過程で、選手は自主性と創造性を大いに発揮することができます。また、失敗を恐れずに新しいことに挑戦する勇気も育まれます。
チームワークとコミュニケーションの強化
チームスポーツにおいては、個々の技術だけでなく、チームとしての連携も非常に重要です。ゲーム形式の練習は、選手たちがお互いにコミュニケーションを取りながらプレーする機会を増やします。このプロセスの中で、選手たちは相手の動きを予測し、チームメイトとの信頼関係を深めることができます。結果として、チーム全体のパフォーマンスが向上します。
ゲーム形式の練習事例
実際に行われたゲーム形式の練習の一例を紹介します。
私が指導にあたったチームでは、5対5のゲームを通じて、選手たちに三段攻撃でスパイクを試みることを奨励しました。
最初は難しさに直面した選手もいましたが、繰り返しゲーム形式の練習を行ううちに、次第に自信を持ってトライするようになりました。
この練習では、単に技術を向上させることだけでなく、選手たちが自ら戦術を考え、チームメイトとの連携を深めることが目的でした。
選手たちは、自分たちでゲームのルールを変更したり、新しい戦術を提案したりすることもありました。
このような環境が、選手たちの創造性と自主性を大きく促進しました。
ゲーム形式の練習を取り入れる際の工夫点
ただの遊びで「楽しかった」で終わらせるのは簡単ですが、技術習得ということを考えると非常にもったいないです。
ゲーム形式の練習を取り入れる際には、以下の点に注意が必要です。
- ルールや設定の工夫: ゲームの目的に応じて、ルールや設定を工夫することが大切です。選手が新しい技術に挑戦しやすいように、また、特定の戦術を練習するために、ゲームの条件を調整します。
- 選手のモチベーションの維持: 選手が練習に積極的に参加し続けるためには、楽しさと学びがバランス良く組み合わさっていることが重要です。選手が自らの成長を感じられるように、適切なフィードバックと評価を行います。
- フィードバックの重要性: 選手へのフィードバックは、具体的で建設的なものであるべきです。選手の良い点を認めつつ、改善点については具体的なアドバイスを提供します。これにより、選手は自己の成長を実感し、モチベーションを維持できます。
まとめ
ゲーム形式の練習は、選手が実戦に近い形で基礎技術を習得し、自主性や創造性を育む絶好の機会を提供します。
また、チームワークとコミュニケーションの向上にも寄与します。
適切なルール設定とフィードバックを通じて、選手たちは自ら考え、行動する力を養うことができます。
このアプローチは、指導者が選手の能力を最大限に引き出し、彼らの成長を促すための有効な手段と言えるでしょう。