栃木県/バレーボールスクール/AVANZAR
代表コーチの中田です。
・アバンザールを立ち上げて4年目
・著書「バレーボール令和の教科書1年生」
・バレーボール指導歴10年以上
・1週間に1冊の読書量
・教育・バレーボール指導について20000時間以上を費やして研究・実践
はじめに
子育てにおいて、「厳しさ」と「自由」のバランスをどのように取るかは、親にとって永遠のテーマです。
厳しさをもって子どもを導くことと、自由を与えて自己責任を教えることの間で、親は常に揺れ動きます。
この記事では、厳しさがなくなることで子供に与えられる自由、それに伴う責任、そして親としての適切な指導方法について考察します。
厳しさを取り除いたときの自由
ストーリー:厳しさの欠如
ある家庭で、子どもに対する厳しさを完全に取り除きました。
学校を休みたいと言えば休ませる、帰ってきたら夕飯以外は自由時間、休日はどこで何をしていても良い…
すると驚くことに、はじめのうちは好き放題にゲームばかりしていた子が、1ヶ月ほど経った頃、自分から机に向かい学習するようになったのです。
心理学的解説
上の実践では、子どもは何をしても良いという自由を手に入れましたが、それは同時に選択の自由も含まれていたのです。
子どもに自由を与えることは、彼らに自己決定の機会を与えることです。
自己決定理論によれば、自由は内発的動機付けを促進し、自主性と関連性の感覚を高めます。
しかし、これは同時に、子どもが自分の行動の結果に対して全責任を負うことも意味しています。
自由に伴う責任
ストーリー:責任の重み
自由を与えられたある高校生は、自分の選択がもたらす結果に直面しました。
自由を良いことに夜遅くまでインターネットで遊び、朝はギリギリに登校。
もちろん日中は眠くて眠くて、授業中は起きていられませんし、一日を保健室で過ごすことも。定期テストの点数はガタ落ち、学校の評定も落ちるところまで落ちてしまいました。
心理学的解説
選んだ行動が成功をもたらすこともあれば、失敗に終わることもあります。
自由が増えると、それに比例して責任も増えます。
子どもが自分で選択したことに対する責任だけでなく、選ばなかったことに対する責任も自分で負うようになります。
これは、自己規制能力の発達に不可欠ですが、それを身につけるには時間と経験が必要です。
スポーツを通じた自己律
ストーリー:スポーツと自律
いつも怒鳴っている指導者のバレーボールチームは
コーチがいない日にはボールを蹴っ飛ばしたり、練習せずスマホをいじっていたり、やりたい放題。
心理学的解説
スポーツをしている子たちは、コーチからの厳しい指導がなくなると、自分で考え、自分で行動することが求められます。
これは、自律の重要な訓練になります。
スポーツ心理学において、自律は選手が自分自身の行動を管理し、自分で設定した目標に向かって努力する能力を指します。
自律している子は、スポーツだけでなく、学業や社会生活においても成功する傾向があります。
親としての適切な指導
ストーリー:厳しさと放置の間
ある親はこう言います。
「子どもに自己責任を教えるために、時には厳しく、時には放置するという方法を取りました。」
心理学的解説
これは、子どもに自立心を育てるための一つのアプローチです。
子どもに自立心を育てるためには、適切な指導が必要です。
時には厳しさをもって伝えることで、自分で考える力をつけさせます。
しかし、本当に厳しいのは、子供が自分で責任を取るまで放置することです。
これは、子どもに自己効力感を育てるためには必要なことです。
厳しさは愛情の裏返し
ストーリー:愛情の厳しさ
ある親がこう言います。
「私が厳しさをもって口うるさく指摘するのは、うちの子が社会に出たときに困らないようにするためです。」
心理学的解説
これは、親の深い愛情から来る行動です。
厳しさは、親が子どもに対して持つ愛情の一形態です。
心理学では、愛情の裏返しとしての厳しさは、子どもに安全な環境を提供し、適切な行動を促すためのものです。
言われているうちが花であり、親の指導は子どもにとって貴重な学びの機会です。
自由と責任の教育
自由の中で学ぶ
ストーリー:自己コントロール
ある高校生はこう言います。
「私は、ひょんなことから夜更かしをしてゲームをする自由を得ました。しかし、翌日の学校で授業中に集中力が低下しているのを経験し、自分の行動を見直すきっかけになりました。」
心理学的解説
自由の中での自己制御は、子どもが自分の行動の結果を理解し、それに基づいて行動を調整するプロセスです。
心理学では、このような経験から学ぶことを「経験的学習」と呼びます。
この例のように、自由の中で責任を学ぶことは、自己制御能力の発達に不可欠です。
責任感の育成
ストーリー:責任感のある行動
ある中学生はこう言います。
「自分の部屋の掃除を自分で行う責任を持っています。最初は親の指示で行っていましたが、次第に自分から進んで行うようになりました。」
心理学的解説
責任感は、自分の行動やその結果に対して責任を持つことです。
責任感の育成は、子どもが社会的に適応し、自立するために重要な要素です。
この例のように、日常生活の中で小さな責任を持つことは、大きな責任を学ぶ基盤となります。
自由と責任の教育
ストーリー:どう教育するのか
ある親はこう言います。
「私は、子どもたちに自由を与えつつも、それに伴う責任を理解させる方法を模索していました。まずは、子どもたちが自分で決めたルールを守ることから始めました。」
心理学的解説
自由と責任の教育法は、子どもが自分でルールを設定し、それを守ることから始めることができます。
心理学では、このような自己決定のアプローチは、内側から湧き上がる気力を促進し、自己規制能力を高めるとされています。
社会での自立への準備
ストーリー:社会での自立
ある大学生はこう言います。
「私は親からの経済的な支援を受けずに、アルバイトをしながら学費を支払っています。これは、私が社会で自立するための重要なステップなんです。」
心理学的解説
社会で自立するためには、経済的な自立だけでなく、精神的な自立も必要です。
これは「自己決定」と関連しており、自分の人生に対するコントロール感を高めることにつながります。
親としての最終目標は、子どもが自立し、自分の人生を自分で判断し、責任を持って生きることを学ぶことです。
このような自立した大人になるプロセスが「自己実現」です。
まとめ
- 厳しさを取り除くことで子どもに自由が与えられますが、それには責任が伴います。
- 自由に伴う責任は、子どもの自己規制能力を育てます。
- スポーツは自律を学ぶ良い機会です。
- 親は時には厳しく、時には放置することで自立心を育てます。
- 厳しさは愛情の裏返しであり、子どもにとっての学びです。
- 自由の中での自己コントロールは、自分の行動の結果を理解し、それに基づいて行動を調整することを学ぶために重要です。
- 責任感の育成は、子どもが社会的に適応し、自立するために不可欠です。
- 自由と責任の教育は、子どもが自分でルールを設定し、それを守ることから始めることができます。
- 社会で自立するためには、経済的、精神的な自立が必要です。
- 親としての最終目標は、子供が自立し、自分の人生を自分で判断し、責任を持って生きることを学ぶことです。