栃木県/バレーボールスクール/アバンザール
代表コーチの中田です。
・アバンザールを立ち上げて2年目
・著書「バレーボール令和の教科書1年生」
・バレーボール指導歴10年
・これまでに1000人以上を指導
・1週間に1冊の読書量
・教育・バレーボール指導について20000時間以上を費やして研究・実践
バレーボールの中には、たくさんの動作が出てきます。
サーブレシーブだけを例に挙げても
- 構えの姿勢
- ボールの見方
- 第一歩の出し方
- 足運び
- レシーブ面のつくり方
- ボールをレシーブする瞬間の面の動き
これだけの要素があります。
一つ一つの動きについて、科学的な根拠を付けられますか?
うまく上達できている選手や、うまく成長できているチームの指導者の大半は、一つ一つの動作を理解した上で練習に取り組んでいるのだと感じます。それは技術指導について会話してみるとよくわかります。
一方で、とにかく量をこなして体で覚えろ!と
バレーボール指導者の中には自分の経験だけを頼りに指導している方もいるのが現状です。
何を隠そう、かつての私がそうでした。違和感を感じて今は考えを改めましたが…
そんなわけで本記事では「バレーボール指導の間違いあるある」を紹介したいと思います。
間違い①アンダーハンドパスで腕を振るな!
これは初心者がバレーボールを教わり始めてはじめに言われがちではないでしょうか。
結論、これは半分間違いです。
たしかに、腕を振りすぎてしまうとボールを強くヒットしてしまったり、パスしたボールが後ろに飛んでいったりしてしまいます。
要は面が強く当たりすぎたりブレたりするのがNGなのです。
チャンスボールが来た場合はどうでしょうか?
多少腕を振って勢いをつけた方が高さが出て良かったりします。
間違い②ジャンプしたらすぐに手を上げろ!
プロ野球のピッチャーをイメージしてみてください。
すべてのピッチャーが、ボールを投げる動作の始めには腕を後ろに引いていると思います。
つまり、そういうことです。すぐに手を上げない方が腕を振るパワーが出せます。
間違い③オーバーハンドパスは素早く持って投げろ!
これはシンプルに反則です。バレーボールはボールを持たないスポーツです。
持って投げている「ように見えている」だけです。
熟練度が上がってくると持って投げているように見えますが、実際には手をバネのようにしてボールを弾いています。
間違い④ブロックは常にネットに向いていろ!
昔から言われ続けていることです。
ステップの段階からカニさんのように相手コートに向いたまま歩きなさい、ということです。
たしかに、ボールをブロックするときには相手コート側に手を出します。
なので一見、理にかなっているように思われますが…
- 高さが出せない
- 移動のスピードに限界がある
このような課題が指摘されてきて、現代バレーでは変わってきています。
間違い⑤とにかく練習!考えている暇なんてない!
どのスポーツもそうですが、プレーの前には判断がともないます。
バレーボールのサーブレシーブでいえば、
- どの方向にボールが飛んできているか
- 打球の弾道はどうなりそうか
- 味方がレシーブするのか、自分がレシーブするのか
- 味方のセッターはどこにいるか
- どんな高さでどこにレシーブしたらつなぎやすいか
- 自分はアタックの助走に入れるかどうか
思いつくだけでもこれだけの判断が行われます。
もちろん練習は大切ですし、技術の高い選手はチームで活躍できます。
しかし判断力もバレーボールではライフラインになってきます。
そしてその判断力は常に自分のプレーを振り返ることでしか伸びません。
国際試合を見てイメージを作ったり、作戦の勉強をするのも立派なトレーニングです。
バレーボールは考えるスポーツです。
間違い⑥レシーブは気合いと根性!
気合いと根性でレシーブできるなら、走り込みだけしていれば上達できるということになります…
(もしそうだとすると、高校球児なんてレシーブ最強じゃないですか?)
当たり前ですが、そうもいかないのがレシーブです。
アンダーハンドパスはバレーボールの動きの中でも独特の技術ですから、それに合った練習のやり方があります。
間違い⑦クイックのセット(トス)は低く!速く!
クイックのセットは低ければ低いほど速いからイイ!と聞いたことはありませんか?
小中学校の試合を見ていると、たしかに低い・速いクイックが多用されています。
実はこれ、ヤバいです。
- 「速いセット」を上げるセッター
→「高い・低いセット」はアタッカーが触れない
→セッターのミスでチームから責められる
→セットを低く・速くしていく
→ちょこんと跳んだブロックに仕留められる - 「速いセット」を打つアタッカー
→急いで助走に入らないと
→満足にジャンプできない
→打点が低くなる
→余裕がないからアタッカー自身が打つコースを自由に決められない
→ちょこんと跳んだブロックに仕留められる
→ブロックを抜けても余裕でレシーブされる
この現象が日本代表レベルでも起こっていたりします。
本当はクイックを打つのは単純で簡単な話なのに、勝手に難しくしている感じです。
間違い⑧リベロはレシーブだけしていればいい!
守備専門のリベロの選手というルールが正式に導入されたのは1998年です。ほんの20年前ですね。
- 特定の選手と何回でも交代できる
- ネットより高いところでアタックを打ってはいけない
- アタックラインより前でセットしてはいけない(厳密にはアタッカーがそのボールをアタックしたら×)
- ブロックしてはいけない
などの制約があります。
当時はレシーブ面の強化ということで導入されましたが、現代では少し様子が変わってきました。
- ネットより高いところでアタックしてはいけない
→ネットより低ければ○ - アタックラインより前でセットしてはいけない
→アタックラインより後ろなら○
というように、リベロに求められることが増えてきています。
セッターがレシーブしたときにセットを上げる「セカンド・セッター」と呼ばれることもあります。
リベロ=レシーブ専門、というイメージにはもうサヨナラしましょう。
根性・根性・ど根性のバレーボールにサヨナラ
まだまだバレーボール界では非科学的な練習が行われています。
未来の日本代表をつくるのは今の子どもたちです。
わたしたち指導者も彼らに夢を見させていただいているのですから、学び続け、還元し、目の前の選手を大切に育てたいものです。
アバンザールではオンラインバレーボールスクールを開催しています。
プレーしてボールに慣れるのも大切ですが、学ぶこともバレーボールの上達には必要です。
ご興味があれば上の記事をご覧ください。