栃木県/バレーボールスクール/AVANZAR
代表コーチの中田です。
・アバンザールを立ち上げて5年目
・著書「バレーボール令和の教科書1年生」
・バレーボール指導歴10年以上
・1週間に1冊の読書量
・教育・バレーボール指導について20000時間以上を費やして研究・実践
どうして選手が練習に来たがらないんだろう?」と悩んだことはありませんか?
優れたコーチは、単にスキルを教えるだけではなく、選手自身が「練習に来たい」と思える環境を作り出します。
本記事では、選手のやる気を引き出すためのコーチングスキルを、一流コーチの具体例や実践方法を交えながら詳しく解説します。
あなたのチームがもっと活気に満ちたものになるためのヒントがきっと見つかるはずです!
選手が練習に来たくない理由を知ることから始めよう
選手が練習に来たがらない理由
練習に選手が自主的に来ること、それは多くのコーチにとって目標であり、課題です。
しかし、現実には「練習がつまらない」「疲れている」「やる気が出ない」といった理由から、選手が練習に積極的でないことがあります。
この問題に直面しているコーチは少なくありません。
私自身もコーチを始めたばかりの頃、同じ悩みに直面しました。
当時の私は、練習のメニューを綿密に計画し、選手たちに高い目標を求めていました。
しかし、練習への参加率が徐々に下がり、練習中の集中力も欠けている選手が増えていることに気づきました。
そこで、練習後に選手たちの声を聞いてみると、「疲れている」「練習が楽しくない」「どうせミスばかりする」といった答えが返ってきました。
このとき初めて、自分の練習が選手たちのモチベーションにどう影響しているのかを考える必要があると気づきました。
そして、選手が練習に来たがらない理由を深く掘り下げることが、問題解決の第一歩だと理解しました。
解決策:選手の声を聞き、理由を特定する
選手が練習に来たがらない理由を特定するためには、いくつかの方法があります。
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直接対話する
- 選手と一対一で話をすることで、個々の悩みや不安を直接聞くことができます。
- 選手がリラックスして話せる雰囲気を作ることが重要です。
- 例えば、「最近どう?練習で困っていることはない?」といったカジュアルな質問から始めると、選手も心を開きやすくなります。
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匿名アンケートを実施する
- 選手が率直な意見を述べることが難しい場合、匿名アンケートを活用すると良いでしょう。
- 「練習の何が好きか」「改善してほしい点は何か」といった質問をすることで、全体的な傾向を把握できます。
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練習中の様子を観察する
- 選手がどのように練習に取り組んでいるかを観察することも有効です。
- 特定のメニューで集中力を欠いている場合、そのメニュー自体が選手にとって不適切である可能性があります。
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保護者や他のスタッフと連携する
- 特に若い選手の場合、家庭や学校でのストレスが原因で練習への意欲が低下することがあります。
- このような場合は、保護者やスタッフと連携して選手の心理的な負担を軽減する方法を探る必要があります。
選手が練習に来たがらない主な理由とその解決策
選手が練習に来たがらない理由は、大きく以下の3つに分類できます。それぞれについて具体的に解説します。
1. 練習内容がつまらない
練習が単調である場合、選手は次第に飽きてしまいます。一方で、練習内容が過度に難しい場合、達成感を得られず、やる気を失うことがあります。
- 解決策
- 練習メニューを工夫し、多様性を持たせましょう。たとえば、基礎練習だけでなく、ゲーム形式の練習を取り入れることで、楽しさと実践力を同時に向上させることができます。
- また、メニューごとに小さな目標を設定することで、選手が達成感を得やすくなります。
2. 人間関係の問題
選手同士のトラブルや、コーチとの信頼関係が築けていないことが原因で、練習に対する意欲が低下することがあります。
- 解決策
- チームビルディングの一環として、定期的にコミュニケーションを図る場を設けます。
- たとえば、練習後に選手全員で意見交換を行う「振り返りタイム」を取り入れることで、お互いの考えや気持ちを共有する機会を作ります。
- また、コーチ自身が選手を尊重し、信頼関係を築く努力を怠らないことが重要です。
3. 心理的な問題
選手が家庭や学校でのストレスを抱えている場合、練習に集中することが難しくなります。
- 解決策
- コーチとしては、選手が練習に参加することで一時的にストレスを解消できる環境を提供することが求められます。
- たとえば、リラックスした雰囲気で行うリカバリーメニューを導入したり、選手に自由に意見を述べる時間を設けたりすることで、心理的な負担を軽減することができます。
ケーススタディ:「自分は下手だから」と言う選手
かつて指導したある選手は、練習に来たがらない理由を「自分は下手だから」と語っていました。
彼女はミスをするたびに自信を失い、次第に練習への参加を嫌がるようになりました。
私は彼女との対話を重ね、少しずつ自信を取り戻せるようサポートしました。
具体的には、彼女の得意なスキル(例えば、サーブ)にフォーカスした練習メニューを用意し、その成功をみんなで称賛する場を作りました。
結果、彼女は練習への意欲を取り戻し、チーム内でも積極的な存在へと成長しました。
結論:コーチングの第一歩は理解から
選手が練習に来たくない理由を特定することは、コーチングの第一歩です。
その理由を無視して一方的に指導を進めても、選手のモチベーションは向上しません。
対話、観察、保護者との連携など、様々な手法を駆使して選手の本音を理解することで、選手自身が「練習に行きたい」と思える環境が整います。
やる気を引き出す「環境づくり」の基本ルール
環境がやる気を左右する理由
どんなに効果的な練習メニューや優れた指導技術を持っていても、選手がやる気を失うことがあります。
その原因の多くは、「環境」にあります。練習環境が整っていない、チームの雰囲気が悪い、コーチのアプローチが適切でないなど、さまざまな要因が選手のモチベーションを低下させるのです。
私自身、指導初期のころ、選手たちが練習中にだらけたり、チーム内のコミュニケーションが不足している状況に悩まされました。
当時は練習内容にばかり目を向けており、「選手がどう感じているか」を見落としていました。
しかし、練習の合間に選手の声を聞いたところ、「ミスが多く怒られるばかりで、練習が楽しくない」「チームメイトと話しづらい雰囲気がある」といった意見が出てきました。
この経験を通じて、技術や体力だけでなく、「選手が安心して努力できる環境づくり」がいかに重要かを学びました。
選手のやる気は、コーチが用意する「環境」によって大きく左右されるのです。
解決策:やる気を引き出す環境を整える3つの基本ルール
やる気を引き出す「環境づくり」を実現するためには、以下の3つの基本ルールを守ることが重要です。
1. 物理的な環境を整える
まず、練習場所そのものが選手にとって快適であることが重要です。
体育館の温度や照明、使用する器具の状態など、選手がパフォーマンスを発揮しやすい物理的環境を整えることは、モチベーションを高める基盤となります。
- 実例
- 以前指導していたチームでは、夏場の体育館が非常に暑く、選手たちが練習に集中できない状況がありました。
- 練習前に体育館を十分に換気し、休憩時に冷たいタオルを提供するようにしたところ、選手たちの集中力が改善しました。
- 練習用のボールが古くなっていたため、新しいボールに交換したことで、練習への意欲が高まりました。
2. 心理的な環境を整える
心理的な安全を感じられる環境を作ることも、選手のやる気を引き出すうえで不可欠です。
失敗を恐れず挑戦できる雰囲気を醸成することで、選手は自主的に練習に取り組むようになります。
- 実例
- ある選手がミスを恐れて練習中に消極的なプレーをしていたため、私はチーム全体に「ミスは挑戦の証拠であり、成長の一歩だ」というメッセージを繰り返し伝えました。
- 選手たちはミスに対する意識をポジティブに変え、積極的に新しい技術に挑戦する姿勢が見られるようになりました。
3. 社会的な環境を整える
チーム内の人間関係が良好であることは、やる気を高める大きな要因です。
選手同士が互いに尊重し合い、協力し合える環境を作ることで、練習への意欲が向上します。
- 実例
- チーム内で意見が対立することが多かった時期に、私は「チーム目標を共有する時間」を設け、全員で意見を出し合う場を作りました。
- 選手同士が互いの考えを理解し合い、チーム全体の結束が強まりました。
やる気を引き出すための具体的な環境づくりの実践
1. 物理的な環境の具体的な工夫
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設備の改善
練習器具の状態を定期的に点検し、古くなった器具は更新します。ボールやネットだけでなく、選手が利用する更衣室やトレーニングスペースも整備することで、選手が快適に練習できる環境を提供します。 -
環境の変化を活用する
いつも同じ場所で練習を行うのではなく、時には外部の体育館やビーチバレー場など、異なる場所で練習を行うことで選手の新鮮さを引き出します。
2. 心理的な環境の具体的な工夫
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フィードバックの工夫
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練習中のフィードバックは、「改善点」だけでなく「成功した点」を必ず伝えるようにします。
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「サーブのフォームが安定してきたね。次はスピードを意識してみよう」というように、ポジティブな言葉と改善点を組み合わせることで、選手が前向きに取り組めるようになります。
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信頼関係の構築
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選手一人ひとりの目標や悩みに耳を傾けることで、信頼関係を深めます。
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個別面談を定期的に実施し、選手が安心して相談できる環境を作ることが大切です。
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3. 社会的な環境の具体的な工夫
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チームビルディング活動
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練習以外の場での交流を増やすことで、選手同士の信頼を築きます。
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チームでの合宿や親睦会、ボランティア活動などを通じて、選手同士がより深い関係を築くことができます。
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リーダーシップの育成
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チーム内にリーダーを設け、選手たちが自主的に環境づくりに参加できる仕組みを作ります。
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これにより、選手が自分たちのチームに対する責任感を持つようになります。
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ケーススタディ:選手同士の関係が悪化
以前指導した高校チームでは、選手同士の関係が悪化しており、練習への参加率が低下していました。
私はまず、個別面談を通じて選手たちの意見を集め、彼らが練習に感じている課題を明らかにしました。
その結果、「意見を言いづらい」「練習が厳しすぎる」という声が多く聞かれました。
そこで、練習の初めに全員でチームの目標を再確認し、全員が意見を出し合う「振り返りタイム」を導入しました。
また、練習の最後には「今日の成功を褒め合う時間」を設け、ポジティブな雰囲気を作りました。
これにより、選手たちのモチベーションが向上し、チーム全体が活気づきました。
結論:環境づくりはコーチの最重要課題
選手のやる気を引き出すためには、物理的・心理的・社会的な環境を整えることが不可欠です。これらの環境が選手にとって快適で安全であれば、自然とやる気が高まり、自主的に練習に参加するようになります。
選手の心を動かす魔法の言葉とは?
言葉の力で選手を変える
「やる気を出して!」「もっと頑張れ!」といった声掛けをしても、思ったように選手が反応しないと感じたことはありませんか?
私も指導の初期段階で、似たような経験をしました。
選手に対して励ましの言葉をかけたつもりが、逆に「プレッシャーに感じてやる気がなくなった」と言われたことがあります。
コーチが使う言葉は、選手にとって非常に大きな影響力を持っています。
その言葉一つで選手のモチベーションが上がることもあれば、逆に下がることもあります。
しかし、選手の心を動かす「魔法の言葉」は、ただ褒めるだけや叱るだけではありません。
それは、選手の状態や状況に応じて、的確な言葉を使い分けることにあります。
ここでは、選手が前向きになり、練習や試合に全力で取り組むようになる「心を動かす言葉」について、具体例を交えながら解説していきます。
解決策:心を動かす言葉を使い分ける3つのポイント
選手の心を動かす言葉には共通点があります。
それは「具体性」「共感」「肯定的な視点」の3つです。それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。
1. 具体性のある言葉
選手にとって曖昧な指示や抽象的な励ましは、かえって混乱を招きます。
「もっと頑張れ」ではなく、「次のスパイクでは腕をもっと大きく振ってみよう」というように、具体的なアクションを伝えることが大切です。
- 実例
- 以前、サーブの精度が低い選手に対して、「もっと集中して」と声をかけたところ、彼は「どう集中すればいいかわからない」と戸惑っていました。
- その後、「サーブを打つ前に3秒深呼吸して、狙うコースを決めてから打とう」と具体的なアドバイスをしたところ、すぐに改善が見られました。
2. 共感を込めた言葉
選手が感じている悩みや感情に共感することで、心の距離を縮めることができます。
「ミスが多いのが怖い」という選手に対して、「僕も選手時代に同じような気持ちになったよ。でも、ミスがあるからこそ上達するんだ」と伝えると、選手は「理解してもらえた」と感じ、自信を取り戻します。
- 実例
- 試合で連続してミスをした選手が落ち込んでいた際、「失敗するのは挑戦している証拠だよ。失敗を恐れずに続けることで成長できる」と声をかけたところ、彼女は次のプレーで再び積極的にチャレンジするようになりました。
3. 肯定的な視点を持つ言葉
選手の良いところを見つけ、それを言葉で伝えることは、彼らの自信を育てます。
「できていないこと」を指摘するよりも、「できるようになったこと」を強調する方が、選手は成長を実感しやすくなります。
- 実例
- スパイク練習でなかなか決まらなかった選手に対して、「今のスパイク、前よりもフォームが安定してきたね」と伝えたところ、彼女は「もっと頑張ろう」とモチベーションを高めることができました。
シーン別の「魔法の言葉」の使い方
1. ミスをしたときの声掛け
ミスをした選手は、不安やプレッシャーを感じています。
その状態で「どうしてミスしたんだ」と問い詰めるのは逆効果です。代わりに、以下のような言葉を使うと良いでしょう。
- 具体例
- 「大丈夫、次のプレーで取り返そう!」
- 「今のミスは、次の成功への準備だよ。」
これらの言葉は、選手に安心感を与え、次のプレーに集中するきっかけを作ります。
2. 成功したときの声掛け
成功したプレーをしたときには、その努力をしっかりと認める言葉をかけましょう。
ただし、「すごい!」だけではなく、具体的なポイントを褒めることで、選手は自分の成長を実感できます。
- 具体例
- 「今のレシーブ、しっかり体がボールの下に入ってたね。完璧だったよ!」
- 「スパイクのコース取りがすごく良かったね。相手が全然反応できてなかったよ。」
3. 試合前の声掛け
試合前は緊張している選手が多いため、プレッシャーを和らげつつ自信を与える言葉が効果的です。
- 具体例
- 「今まで練習してきたことを出せれば大丈夫。君ならやれるよ!」
- 「今日は楽しんでプレーしよう。結果は後からついてくるから。」
4. 試合後の声掛け
試合後は、結果にかかわらず選手の努力を認める言葉が重要です。
負けた試合であっても、「何ができたか」にフォーカスしたフィードバックを行いましょう。
- 具体例
- 「今日の試合で、レシーブがかなり良くなってたね。次の試合ではもっと良くなるよ。」
- 「負けたけど、今日はみんなで声を出してチームの雰囲気が良かったね。」
ケーススタディ:迷惑をかけたくなくて消極的
以前指導していた中学生チームで、ミスが多く練習に消極的だった選手がいました。
彼女は「自分だけ下手だから、みんなに迷惑をかけている」と感じ、次第に練習への参加を嫌がるようになりました。
私は彼女との個別面談を行い、「ミスをすることは成長の一歩であり、挑戦している証拠だ」と伝えました。
また、練習中には「今のスパイク、しっかり腕が振れてたね。次はコースを狙ってみよう」と具体的なアドバイスを繰り返しました。
その結果、彼女は少しずつ自信を取り戻し、練習にも積極的に参加するようになりました。
結論:言葉の力で選手を前向きに
コーチが使う言葉には、選手の心を動かす大きな力があります。
具体性、共感、肯定的な視点を意識しながら、状況に応じた適切な言葉を選ぶことで、選手のモチベーションを高めることができます。
目標設定が選手のやる気を高める理由
目標がなければ進む方向が分からない
「もっと頑張れ!」「次はうまくやれ!」と声をかけても、選手のやる気がなかなか向上しないことがあります。
その原因は、選手自身が「何を目指せば良いのか」が明確でないことにあるかもしれません。
目標が不明確であったり、過度に高い目標が設定されている場合、選手は混乱し、やる気を失ってしまうのです。
私自身、指導を始めたばかりの頃、「チームとして試合に勝つこと」を大きな目標に掲げましたが、選手個々に明確な目標を設定しないまま練習を進めていました。
その結果、努力の方向性がバラバラになり、選手たちのモチベーションは低下してしまいました。
しかし、選手一人ひとりに目標を設定し、それを達成するためのプロセスを具体的に示すことで、状況は一変しました。
目標は、選手のやる気を引き出す強力なツールであり、正しく活用することで驚くほどの効果を発揮します。
本節では、目標設定がやる気に与える影響と、効果的な目標設定の方法について詳しく解説します。
解決策:目標を効果的に設定する方法
目標設定が選手のやる気を高める理由は、目標が「行動の指針」となり、選手自身が成長を実感できるからです。
以下の3つのステップで目標を設定すると、選手のモチベーションを大きく引き出すことができます。
1. 短期目標と長期目標を組み合わせる
目標を短期と長期の2つに分けて設定することで、選手は達成感を得やすくなり、モチベーションを維持しやすくなります。
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短期目標
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短期目標は、数日から数週間で達成可能な具体的な目標です。
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「今週の練習でレシーブ成功率を80%に上げる」や「次の試合で3得点を決める」といった目標が該当します。
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長期目標
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長期目標は、シーズンや学年単位で達成を目指す大きな目標です。
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「今シーズンでチームのエースになる」や「県大会でベスト8に入る」といった目標を設定することで、選手は将来に向けたビジョンを持つことができます。
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2. SMARTゴールを活用する
目標を効果的に設定するためには、以下のSMARTゴールのフレームワークを活用します。
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Specific(具体的)
目標は具体的で明確であることが重要です。「もっと上手くなる」ではなく、「スパイクの決定率を50%に上げる」と設定します。 -
Measurable(測定可能)
目標の達成度を測定できるようにします。「レシーブの成功率を毎週記録する」といった方法を取り入れます。 -
Achievable(達成可能)
選手の現在のスキルや状況に応じて、達成可能な目標を設定します。過度に高い目標は逆効果になることがあります。 -
Relevant(関連性のある)
チームや個人の全体的な目標に関連するものにします。たとえば、「試合での得点力を上げる」という目標は、試合勝利というチーム目標に直結します。 -
Time-bound(期限がある)
目標に達成期限を設けることで、選手はより集中して取り組むことができます。
3. 目標を視覚化する
目標を紙やホワイトボードに書き出し、練習場や選手のノートに掲示することで、目標を常に意識できるようにします。
また、達成状況をグラフ化したりチェックリストに記録することで、選手は成長を実感しやすくなります。
目標がやる気を引き出す仕組み
目標設定がやる気を引き出す理由は、主に以下の3つです。
1. 成長を実感しやすい
短期目標を設定することで、選手は小さな成功体験を積み重ねることができます。
これにより、「やればできる」という自己効力感が高まり、さらなる努力を続ける原動力となります。
- 実例
- スパイクが苦手な選手に対して、「1週間で5回、ネットを越えたスパイクを決める」という短期目標を設定しました。
- 達成できた際には、「目標達成おめでとう!」と全員で称賛することで、彼は自信を深め、次の目標に向けて努力を続けました。
2. モチベーションを維持しやすい
長期目標は、選手がモチベーションを維持するための「灯台」のような役割を果たします。
日々の練習が大きな目標にどうつながっているのかを意識することで、選手は練習の意味を見出すことができます。
- 実例
- ある高校生チームでは、「全国大会出場」という目標を掲げました。
- その目標に向けて、毎日の練習で「チーム全体のサーブ成功率を90%にする」といった具体的な中間目標を設定した結果、選手たちは全員が練習に集中し、チーム力が大幅に向上しました。
3. 自己管理能力を育む
目標を設定し、それに向けて自分自身で行動計画を立てる過程を経験することで、選手の自己管理能力が向上します。
特に、中学生や高校生のような成長段階にある選手にとって、目標設定は人生全般に役立つスキルとなります。
- 実例
- 中学生チームの選手に「自分の目標を自分で決める」課題を与えたところ、「1週間で50回成功するサーブを打つ」という目標を設定しました。
- 選手はその目標を達成するための計画を立て、日々の練習に取り組みました。
- その結果、目標達成とともに、彼は自主的に努力する姿勢を身につけました。
ケーススタディ:目標設定が数字を持ってくる
ある中学生のチームでは、レシーブミスが多いことが課題となっていました。
そこで、チーム全体で「1週間でレシーブ成功率を10%向上させる」という短期目標を設定しました。
また、個々の選手には「練習中に10回連続で成功させる」という小さな目標を与えました。
目標達成状況を毎日の練習後にホワイトボードで共有し、成功した選手を全員で称賛しました。
その結果、選手たちは互いに刺激を受けながら努力を重ね、わずか1週間でレシーブ成功率が15%向上しました。
結論:目標がやる気を生む原動力
目標は、選手のやる気を高める原動力となります。短期目標と長期目標を組み合わせ、SMARTゴールを活用し、目標を視覚化することで、選手は成長を実感し、モチベーションを維持しやすくなります。
一流コーチが実践する「楽しさ」と「成長」のバランス術
楽しさと成長のどちらを優先するべきか?
練習は楽しいだけでは物足りない。成長のためには厳しさも必要だ。
しかし、厳しすぎると選手が疲弊してしまい、やる気を失ってしまう。
この「楽しさ」と「成長」のバランスをどのように取るべきか、悩んだことはありませんか?
私がコーチングを始めたばかりの頃、このバランスをうまく取れずに失敗した経験があります。
当時は「練習は厳しいものであるべきだ」と考え、休みなくハードなメニューを組んでいました。
結果的に選手たちの疲労が蓄積し、モチベーションが低下してしまったのです。
選手の楽しみを軽視したことで、練習の質そのものが下がるという悪循環に陥りました。
一流コーチは、楽しさと成長を絶妙に組み合わせることで、選手のやる気を引き出し、継続的な成長を促します。
本節では、そのバランスを取るための具体的な方法と実践例を詳しく解説します。
解決策:「楽しさ」と「成長」の両立を実現する3つのステップ
楽しさと成長を両立させるためには、次の3つのステップを意識することが重要です。
1. 練習に「遊び」を取り入れる
選手が楽しむ要素を練習に取り入れることで、自然とモチベーションが向上します。
特に若い選手にとっては、ゲーム形式の練習が効果的です。
- 実例
- 基礎練習に飽きている選手たちのために、「ミニゲーム」を導入しました。
- サーブ練習では「特定のゾーンに入れるとポイントが2倍になる」ルールを追加し、練習をゲーム感覚で楽しめるように工夫しました。
- その結果、選手たちは笑顔で集中しながら技術向上に取り組むようになりました。
2. 小さな成功体験を積ませる
練習の中で達成感を得られる仕組みを作ることで、選手は「成長している」と実感できます。
小さな目標を設定し、それを達成するたびに選手を褒めることで、彼らの自信を育みます。
- 実例
- レシーブが苦手な選手には、「3回連続で成功させる」という簡単な目標を設定しました。
- 目標を達成するたびに「すごい!その調子で次は5回目指そう!」と声をかけたところ、選手は自信を深め、次の目標にも積極的に挑戦するようになりました。
3. 適度な挑戦を提供する
練習が簡単すぎると退屈になり、逆に難しすぎると選手は挫折してしまいます。
選手一人ひとりのレベルに応じた「ちょっと難しい」練習を提供することで、彼らの成長意欲を引き出します。
- 実例
- セッターの選手に対して、通常のトス練習に加え、ランダムな方向から来るボールを正確にトスする練習を取り入れました。
- 最初は難しそうにしていましたが、少しずつ成功回数が増え、「やればできる」という気持ちが芽生えました。
「楽しさ」と「成長」を融合させる具体例
1. ゲーム形式の練習メニュー
-
目的
楽しみながら技術を向上させる。 -
具体例
① ゾーンスパイクチャレンジ
スパイク練習で、コートをいくつかのゾーンに分け、各ゾーンに得点を設定します。選手は好きなゾーンを狙い、得点を競います。これにより、スパイクの精度と戦術理解が向上します。② タイムアタックサーブ
制限時間内に決めた回数以上のサーブを成功させるチャレンジです。成功するたびに次のレベルへ進み、選手はゲーム感覚でサーブの安定性を鍛えることができます。
2. チームビルディング活動
-
目的
チームの一体感を高め、選手同士の関係を深める。 -
具体例
① 協力ゲーム
チーム全員で協力して特定の目標を達成するゲームを練習に取り入れます。たとえば、全員が順番にレシーブをつなげてコート外に出すというゲームを行うことで、自然と声を出し合う雰囲気が生まれます。② 感謝タイム
練習後に、選手同士が「今日の練習で助けられたこと」を共有します。「〇〇が声を出してくれたおかげで集中できた」といった具体的な言葉を伝え合うことで、チーム内の信頼関係が深まります。
3. フィードバックの工夫
選手の成長を感じさせるためには、適切なフィードバックが欠かせません。
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具体例
① 成功の強調
「今のスパイク、すごく良いフォームだったよ!次はもう少し強い力で打ってみよう」と、成功と改善点を組み合わせたフィードバックを行います。② 成長の見える化
練習の成果をグラフやリストで記録し、選手に「どれだけ上達したか」を視覚的に示します。たとえば、「1か月前よりサーブの成功率が10%上がったね」と伝えることで、努力の成果を実感させます。
ケーススタディ:楽しさで参加率アップ
ある中学生のチームで、練習が厳しすぎて選手の参加率が低下していたケースがありました。
私はまず、「楽しむこと」を重視したメニューを導入しました。
たとえば、スパイク練習ではゲーム形式のチャレンジを取り入れ、選手たちが競争しながら技術を向上できるように工夫しました。
さらに、練習の最後には「今日のベストプレー」を全員で選び、称賛する時間を設けました。
この取り組みにより、選手たちは練習をポジティブな場と感じるようになり、参加率が大幅に向上しました。
結論:楽しさと成長のバランスがやる気を引き出す
一流コーチは、楽しさと成長を絶妙に組み合わせることで、選手が練習に積極的に取り組む環境を作ります。楽しむ要素を取り入れるだけでなく、選手に適切な挑戦を与えることで、やる気と成長の両方を引き出すことができます。
「親に行けと言われるから」と言わせない
選手が自ら進んで練習に来たくなる環境を作ることは、コーチとしての大きな挑戦であり、喜びでもあります。
一流コーチの実践例を参考にしながら、選手のやる気を引き出す方法を模索し続けてください。
その努力が、選手だけでなくコーチ自身の成長にもつながるはずです!